YMCC実践メカ講座
「チューブラータイヤ交換と空気の充填法」
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 久里浜港から「東京湾フェリー」に乗船しますと、小一時間で対岸の金谷港に着岸します。朝から前輪の空気圧がすこうし気になっていたので、船を降りるまでの間に空気を入れ足すことにしました。

狭いので、無理な体勢で力を入れ過ぎてしまった


 ロードレーサー備え付けのインフレーターでそそくさと空気を充填していたところ、突然バルブから空気が逆流しました。あまりにも唐突なので、最初は理解できませんでしたよ。インフレーターの口金をバルブから抜いてみたら、折れたバルブをくわえたまま外れたので仰天しました。見ればディープリム専用のバルブ継ぎ足し部分が真っ二つに…。






上側補修用バルブ




下側折れたバルブ


バルブ折損部

折れたバルブ3分割解剖図

 車載甲板の狭い空間で、無理な姿勢で作業したからバルブに余計な力を加えてしまったのでしょう。細くてデリケートな部分ですからね、もっと優しく取り扱うべきでした。おかげでフェリーボートからは、空気の抜けた前輪を持ち上げるようにしてチャリを曳いて下船する破目になりました。

 あ〜、走り出す前からこれなのね。ただいま09:00だから、ここから開会式場のある館山へ、出走時間の10:00までに25kmを移動しなければなりません。でもね、チューブラータイヤですから。走行性能もさることながら、タイヤ交換をし易いという副次的な長所があります。タイヤの構造が袋状になっていて、これも箱状に作られたリムに嵌めるだけの簡単な作業で済むのです。前輪タイヤ交換に3分もあてれば、すぐに走りだせるでしょう…。

 と思いきや、これが獲らぬ狸の皮算用でして。チューブラータイヤがリムから外れません。チャリ製作時にタイヤをカーボンディープリムに接着するにあたり、両面接着リムテープを使用しました。あれから数年も経過しようというのに、接着どころか固着力の衰えを知りません。渾身の力を振り絞り、ようやくリムから剥がしたとき心拍数は170を超え、時間も5分を経過しておりました。

両面接着リムテープの接着力は過剰なくらい強力

 次にスペアタイヤを嵌めます。しかしこれもきつくて入らないのですよ。

きつい、タイヤが伸びなくてリムに嵌まらない


 独コンチネンタル社製チューブラータイヤ「スーパースプリント」、抜群のコーナリング性能を有するものの、その取り扱いには筋力増強の補助トレーニングが必要です。
 スペアタイヤはそのとき速やかに交換できるよう、あらかじめ足を入れて伸ばしてはあったのですよ、なのにまた縮んで元に戻ってしまったのでしょうか。恥を忍んで同僚に手伝ってもらい、二人掛かりでようやくタイヤを嵌め込みました。いま思い出すとなかなか息の合った共同作業で楽しかったです。

 今度は慎重にポンピングしました、もうバルブを折るような無茶はできませんからね。バルブを咥えたインフレーター口金を左手のひらで包むように保護してリムに固定します。同時に右手でインフレーターの柄を掴み、素早くかつ静謐に前後に滑らせ空気を充填しました。このときのコツは、バルブ部に無理な力が掛からないように左手の親指、人差し指、中指を使ってリムとインフレーター口金を同時に掴むことです。ポンピングする右手より、バルブを固定する左手の方に意識を集中します。

 なかなか気の利くことに、その間同僚がリムから外したタイヤを折り畳んでくれていました。これをサドルの裏側に懸吊してタイヤ交換作業は完了です。あ〜ぁ、この程度の作業に10分も費消してしまって…、こんなはずじゃあなかったのに。まだまだ修行が足りませぬ。

−O湖−


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