2012年05月
佐渡ロングライド参加記録
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基本データ

ラン実施日 2012年05月20日(日)
ラン名称 スポニチ 佐渡ロングライド 210
コース概略 佐和田 → 相川 → 入崎 → 弾崎 → 両津 → 佐和田 (130km)
天候 快晴

レポート本文

おそらく自転車好きの方でしたら、ときには「気の済むまで走りたい」という欲求に駆られる事があるのではないでしょうか。

昨年後半、僕はまさにそれでした。いろんな事情でなかなか走りに行けなくて、たまに行けたとしてもポタリングに毛の生えた程度のちょろっとしたものばかり。心なしか自転車からも恨めしそうに見られているような気がします。「このままじゃイカン」と思っていたところ、知り合いから佐渡ロングライドを紹介されました。

佐渡ロングライド概要

このイベントはとても有名なので、おそらくクラブメンバーの皆様は既にご存知でしょう。その一方で僕はと言えば、以前から名前こそ知ってはいたものの、正直なところどういうイベントなのか良く判っていませんでした。

イベント名からすると、十中八九佐渡ヶ島で行われるイベントに間違いありません。しかしその後の「ロングライド」の意味がよく判りません。"ロングライド" - 直訳すると「長く乗る」とでもなるのでしょうか。きっと長距離レースなのだろうなと考えていました。

ところが。

調べてみるとこれが全然違います。さすがに「佐渡で行われる」ところまでは合っていたのですが「ロングライド」の意味が全く違いました。レースではないのです。

ロングライドは「決められた時間内に決められた距離を走り切る」というスタイルのイベントです。レース(競走)では速いものが勝者ということになりますが、ロングライドでは決められた時間内に決められた距離を走り切った参加者は全員「完走者」として認められます。完走者内に優劣という見方が無いのです。
(ちなみに「ロングライド」は和製英語でした。英語圏では仏語由来の「ランドネ(randonnee)」と呼ぶのだそうです。と書くとピンと来るかたもいらっしゃるでしょう。ツーリング用自転車「ランドナー」の語源です。)

とはいえ、そういう事を聞いてもなおかつ僕は「速くゴールした方が偉いはず」なんて考えていました。けれど参加者の話を聞くと、そういう価値観で臨む人は一人も居ません。

目から鱗が落ちるような思いがしました。

ロングライドは完走を目指し、参加者各々が走りを楽しむイベントです。もちろんその「走りの楽しみかた」は人それぞれです。自己ベストを目指す人、コース内の観光を楽しむ人、新しい自転車やメカのパフォーマンスを試す人、きっと他にもあるでしょう。しかしここで重要なのは、ロングライドは参加者それぞれが自分にとっての指標で達成感を設定できるということです。

 

...って、あれ?なんか、ちょっと、話が小難しくなって空回りしてきたような気がしないでもないな...。

すみません。あまりにも「ロングライド」というスタイルが僕にとって新鮮だったため、少し語ってしまいました。話題を変えましょう。

佐渡ロングライドのコースについて、もう少しだけ説明させてください。

 

佐渡ロングライドのコースは(A)210km、(B)130km, (C)100km, (D)40kmとあり、自分の力量に合わせて選ぶ事が出来ます。

今回僕は130kmコースに参加する事にしました。

当初は最長の(A)210km コースに挑戦しようと思っていたのですが、イベント規定(※)により参加が認められなかったためです。

コース 距離 募集定員 コース説明
A1~A3 210km 2,000人 佐渡一周
B 130km 600人 大佐渡一周と農道里山を横断する
C 100km 200人 大佐渡一周
D 40km 200人 相川AS折り返し
※イベント規定 :
Aコース参加者は、過去5年以内の佐渡ロングライドA・B・Cコースまたは100km以上の大会実績が必要となります。

佐渡に向かう

さてエントリーを終えたら、次には佐渡旅行の手はずを整えなければいけません。

とはいえ、関東圏から佐渡に行くのにはそこそこ時間がかかります。

そのうえ自転車を運ばなければいけないとなると、そこそこ手間もかかります。

例えば東京都内を出発する場合、よくある輪行スタイルでいくとしたら、

という手順になるのですが、乗り継ぎの時間調整や自転車の解体から組み立てなどを考えると面倒なものです。

しかもロングライドの受付は5月19日(土曜日)の16時までに済ませなければいけないので、それに合わせようと思うと遅くとも土曜日の早朝には出発しなければいけません。

自慢では有りませんが、僕はこれまで佐渡に行ったことがありません。なので勝手が良く判らず途方に暮れて居たら、O湖さんが「一緒に行きませんか」と声をかけてくださいました。地獄に仏。渡りに船。願ってもない助けです。もちろん即座にお願いしました。

 

O湖さんのプランは、車で行くというものです。

車に自転車を積み、18日金曜日の晩に神奈川を発ち、19日土曜日の朝に新潟港に到着、その後フェリーで佐渡に渡り、受付会場を経由して宿まで車で移動します。先に挙げた輪行スタイルに比べると、車に乗って行けば良いだけですから非常に楽なものです(もっとも、運転者であるO湖さんの負担は大変なものですが)。

ちなみに同行者はYMCCからO湖さん、H立さん、自転車百哩走大王からK久保さんの三名です。

僕を含め4名が乗るのはスバル・レガシー。この車種をご存知の方でしたら嘘だと思うかもしれませんが、本当です。僕も当初はワゴン車に大人4名と自転車4台が積めるのか?と思っていたのですが、
...何とかなるものですね。驚きました。

そして金曜の晩は徹夜走行(O湖さん運転お疲れさまでした)、翌土曜日の朝6時に新潟港に到着、そして8時半に両津港に上陸しました。

佐渡上陸

僕にとっては初めての佐渡旅行。ただそれだけでもなんかワクワクしてきます。

両津港から佐和田までは国道350号線を南下していきます。すぐ近くに見える山は大佐渡山地。近すぎて山の大きさが良く見積もれないのですが、地図によると佐渡最高峰である金北山は標高1172mもあります。沖縄の最高峰が526mの於茂登岳(おもとだけ)、千葉県の最高峰である愛宕山が標高408mであることを考えると、これは結構な高さではないでしょうか。

そして大佐渡山地の大半は国定公園になっています(佐渡弥彦米山国定公園)。

H立さんは以前にこの大佐渡山地のトレッキングに参加した事が有るそうです。

そのときガイドから受けた説明によると、山の中で一番怖い動物は毒蛇でも熊でも無く「野生化した牛」なのだそうです。ちなみにガイドはそれを「野良牛」と呼んでいたとのこと。

「のらうし」...ユーモラスな可愛い語感ですよね。実物は凶暴なのかもしれませんが、耳には全然怖くない。それどころか「声に出して読みたい日本語」に推薦したいくらいです。

 

さて。

そんな話などしながら車で移動し、19日の朝9時半頃には目的地の佐和田に到着しました。

けれどロングライドの受付開始は13時からです。受付会場である河原田小学校グラウンドは人影もまばら。食べ物の屋台やメーカーブースの設営準備も手がけ始めたばかりのようです。持て余した時間を潰すため、付近を少し散策する事にしました。

佐渡ロングライドのパンフレットによると、会場近くにある「さわた商店街」では今日 "オープンマーケット" とやらが開催されるとの事、なんか面白いものが有るかと思い行ってみると、結構賑わっています。マグロ解体ショーが行われていたり、旨そうなパンが売られていたりとちょっとしたお祭り気分。皆で手打ち蕎麦を食べたり、露天コーヒーいただいたりと観光気分に浸ります。

中でも僕の目に留まったのは、「佐渡おけさ」が披露されていたコーナー。

僕はそれほど民謡に興味は無いのですが、この「佐渡おけさ」が踊られていたとき、それを見ている子供が真似ている「おけさ踊り」が大人顔負けの上手さだったんです。その見事さと可愛らしさに仰天して、しばらく見入ってしまいました。
(そのため上の写真ではシャッターチャンスを逃してしまいました。残念。)

それからまた、僕はこのオープンマーケットで生まれて初めて「似顔絵」を描いてもらいました。

絵師は中学生だとか。描いてくれているところを見るのも面白い。「もうすぐ五十になろうとしているおっさんをこう描くのか~」と思いながら見てました。ちなみにこの似顔絵をウチの母に見せたところ「お前が中学の頃の顔だ」と言ってました。が、親の欲目というものでしょう。僕はこれほどイケてなかった。

さて、そんな感じでオープンマーケットを堪能し、本来の目的であるロングライド受付会場に戻ります。

ロングライド受付

昼過ぎに会場に戻ると、小学校のグラウンドだったところがだいぶイベント会場らしくなっていました。

自転車メーカーやパーツメーカーのブースではデモンストレーションや商品販売が始まっています。

そして13時から受付開始。大勢の参加者がどっと流れ込みます。

受付ではあらかじめ参加者に郵送されてきていた "ゼッケン引換証" を係員に渡し、それと交換に "ゼッケン" 、"計測チップ"、"参加賞" をもらいます。

この「計測チップ」というのは下図に示すようなもので、幅2cm、長さ10cm程度の細長いプラスチック板を折り曲げたものです。自転車のダウンチューブ下部に取り付けます。中には IC チップが組み込まれていて、離れたところから個々の自転車を識別する事ができるというものです。

実際の走行では、路上に置かれたセンサーでこれを感知・検出します。

ただし、この用途、言い換えると「何のためにこれを取り付けるか?」というのはパンフレットなどに説明が書かれていないので良く判りません。これは推定ですが、おそらく参加者の安全確認のため(参加者が全員ゴールに戻っているかどうか、行方不明者が居ないかどうかの確認のため)に用いられるものと思われます。はじめて見ました。ハイテクですね。さすが21.1世紀の自転車イベントだと感心しました。

 

...というところで、受付は終了。このような簡単な手続きですから一人当たり五分十分程度で終わります。

時計を見ると、まだ13時半にもなっていません。前夜際は16時半からですから、またもや時間を持て余してしまいました。3時間程度、中途半端な時間です。試走するほどでもないし、さっきオープンマーケットでご飯を食べたばかりなのでおなかも空いていません。

なので「計測チップ」の取り付けがてら、各自バイクのチェックをすることにしました。

自転車のチェック

会場をいっとき離れ、O湖さんの車を停めてある佐和田体育館駐車場まで戻ります。

そこでみんなのバイクを車から降ろし、組み立て、計測チップを取り付けました。そして次にタイヤ空気圧、ブレーキ、シフト動作などをチェックします。みなさん手慣れたもので、着々と整えていきます。

僕もまあそれなりに組み上げて行ったのですが、少し気になる点が有りました。変速機の調子が今ひとつ良くないのです。

実のところ僕はディレイラー調整が苦手で、これまできちんと仕上がった試しが有りません。いつもメンテナンスの説明本を見ながら家でやってはいるのですが、なんか駄目なんです。スタンドに自転車をのせてディレイラーのボルト調整を行うと、スタンドの上ではちゃんとギアが切り替わるのですが、実際に走ってみるといつも何枚かのギアが合いません。

そのことをO湖さんに話したところ「どれ。見せてみて。」と言い、シフト動作とディレイラー変速動作をいくらか確認したのち、車からツールボックスを持ってきて、ストローク調整ボルトをいじり始めました。

そして有る程度調整したところで試走。するとだいぶ良くなっているのですが、Hi側ギアがまだ微妙にずれます。そして調整、そしてまた試走。これを何回か繰り返したところ、どのギアもスパッと小気味良く切り替わるようになりました。

その後フロントディレイラーの調整もおこなっていただいた結果、まるで別の自転車になったかのような快適な乗り心地です。感動ものです。

O湖さんにお礼を述べたところ「他に気になるところは有るかな?」との言葉。これ以上手間をかけてはいけないと思い「いえいえ、他には有りません」と答えたところ、少し強い口調が帰ってきました。

「そんなことでは駄目だよ」

 

そして自転車の各部を指しながら、一つ一つ説明してくれます。

「ブレーキシューをよく見てみな。位置と角度がリムと合っていない。」

「ブレーキ周りは特に気をつけないといけない。ブレーキの引きしろと効きは大丈夫か」

「最近あまり手入れしていないね。チェーン汚れがひどい。フレーム下部とかハブを見ても手を抜いていることがすぐ判る。」

 

などなど、いくつもダメ出しされます。

流石に学生時代から自転車部に所属されていただけの事は有ります。非常に指導が上手い。自転車の不具合を診てくれるだけではなく、持ち主である僕が自分でメンテナンスするための着目点と対応を教えてくれました。耳が痛い反面、ありがたい話だと思いました。

前夜祭~宿

その後16時から前夜祭に参加。ここではS水さんと合流しました。

S水さんは4月に YMCC のミーティングに「お試し」で参加された方です。この時点では僕は初対面だったので軽く会釈した程度でした。話を聞くと、今朝早くにバスで新宿を発ち、今到着とのこと。そして明日は210kmコースに参加し、その後すぐさま帰るのだそうです。

この佐渡ロングライドには何度も参加されているそうで、慣れているというのもあるのかもしれませんが、体力が有るのだなあと思いました。羨ましい。

そして18時頃まで前夜祭に参加。その後宿に向かいます。

宿に着いたら、見事な夕日が見えていました。

気づくと、そこに居合わせている誰もが夕日を見つめています。さすが太陽。そして海と空。

明日は晴れそうです。

ロングライド当日、朝

20日は朝4時前に起床。自転車を組んで、5時半頃に集合場所に到着しました。

ここで走行距離に応じてグループ分けが行われます。そして走行距離の長いグループから順次スタートして行きます。

僕を除くみんなは210kmグループなので、ここでみんなとは一時お別れ。先に出発するみんなを見送りながら、独りで130kmグループの出発を待ちます。

出発ゲートに到着するまでは意外と掛かります。小一時間かかったでしょうか。のろのろと進む列で周囲を見渡すといろいろな人が居ます。チームで参加している賑やかな人達。マシンからウェアからいかにも気合いが入っているサムライみたいな雰囲気の人(近寄り難い)。その一方でそれとは真逆でほとんどママチャリ(のように見える)自転車で参加している人もいます。

道の脇では応援に来ている人も居ます。いいな、ああいうの。

そして朝七時、やっとゲートに到着しました。「いよいよ」という緊張感が心地良い。子供の頃の運動会で、徒競走のスタートラインでピストルの音を待っていたときのようです。気持ちが前傾になって来ているのが分かります。

そしてスタート。

佐渡を走る

さて、いよいよここからが本番なのですが、ここまでのレポートを読み直し、我ながら文章の長さにあきれています。ちょっとダレてますね。自分にとってこの佐渡ロングライドが楽しすぎたので際限無く書いてしまいました。

もちろんここからの走行部分にも書きたい事がてんこ盛りです。そうですね..だいたい今までの2倍量、いや、3倍程は書きたいのですが、この調子で書いているといつまで経っても書きあがりそうに有りません。

なので、趣向を変え、実際の走行部分のレポートはビデオで報告することにいたします。下にあるビデオ画像の真ん中にある右向き三角印をクリックすると再生します。
(大きい音が出ますので、音量設定には注意して下さい)

謝辞

今回のイベントに一緒に参加したメンバーの皆様には色々助けられました。どうもありがとうございます。特に "自転車百哩走大王"の K久保さんにはロングライドという走行スタイルのイロハを丁寧に教えていただきとても勉強になりました。
(もしこのレポートを読まれた方で、ロングライドに興味を持たれた方は自転車百哩走大王のホームページをご覧になられることを強くお勧めいたします。)

また、このイベントを企画・運営された皆様。それからイベント中に道端で応援してくださった方々にも感謝いたします。

きっとまた来年も参加します。楽しかった!

 

参考

2012年05月
佐渡ロングライド参加記録
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