今年(2013年)の11月に、宮城県で "ツール・ド・東北"(以下 TdT と略) という自転車イベントが開催されます。
参考 : ツール・ド・東北 2013 ホームページ
これは東日本大震災被災地の復興支援イベントです。
Yahoo! Japan でも大々的に宣伝していましたから、興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
2011年3月の震災から二年以上が経過し、被災地でこのようなイベントが開催されるようになったというのは喜ばしいことです。とはいえ、イベントに参加する立場としては現地の様子がとても気になります。道路状況は良いのでしょうか、交通安全は大丈夫なんでしょうか、現地の対応に問題はあるんでしょうか。
などなど気になったので、ちょっと下見で走ってきました。
今回走ったルートを説明する前に、まずは TdT のコース一覧の特徴を簡単にまとめてみます。
比較対象としては佐渡ロングライド(以下 SLR と略)を示しています。
TdT は、距離の異なる 3 つのコースが有ります。
総走行距離、平均斜度、最大斜度、獲得標高、などをまとめてみます。
コース名をクリックすると、詳細地図が表示されます。
コース名 | 総走行距離 [km] |
平均斜度[%] | 最大斜度*注[%] | 獲得標高[m] | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
上り | 下り | 上り | 下り | 上り | 下り | |||
TdT | グランフォンド | 約160 | 4.1 | -4.2 | 8.9 | -7.8 | 1743 | 1741 |
メディオフォンド | 約100 | 4.4 | -4.4 | 8.7 | -7.8 | 1031 | 1029 | |
グルメフォンド | 約60 | 4.2 | -4.3 | 8.1 | -6.9 | 531 | 525 | |
SLR | A | 208 | 3.7 | -3.6 | 10.2 | -9.4 | 1990 | 2007 |
B | 132 | 3.6 | -3.6 | 7.3 | -7.2 | 1219 | 1229 |
*注 : 斜度計算は 0.5km 刻みで行っています。短い区間ではより大きい斜度となる場合が有ります。
今回試走したルートを下に示します。
距離は約 130km。グランフォンドとメディオフォンドの中間くらいです。
さてそんなこんなをつらつらと書いてきましたが、まとめると
ってところです。
路肩が狭くて交通量の多い道路は、当然事故に合う可能性が高いです。TdT って Yahoo! Japan が大々的に宣伝していることも有って初心者の方も多く参加するような印象が有るんだけど、大丈夫なんかな。
もしこのレポートを読んでるあなた、あるいはあなたのお知り合いが TdT 参加予定であるのなら、事故には充分にご注意ください。
いや、ほんとマジで。
路肩の小石にタイヤを取られて転倒して、そこにタイミング良く(悪く?)ダンプトラックが通りかかったりしたら相当に痛い思いをしますよ。
(あるいは二度と痛さを感じることが出来なくなるかも)
「絶対に事故を起こさない」なんて多分不可能ですが、ちょっとの気遣いで事故の確率を格段に下げることは可能です。
それは
などです。
...「当たり前じゃん!」って言われそうですね。そう、当たり前の事です。でもたったこれだけでもだいぶ違いますよ。
あとは、どんな時でも気持ちに余裕を持って走ること。
たとえば(運悪く)後続の自動車にクラクションを鳴らされたとしても、"あわてて路肩に寄る" なんてしない方がいいです。前述のとおり、当てにならない路肩が多いので、こけて痛い目に合うのが落ちです。
クラクションを鳴らされたら、
などと対応しましょう。
実際のところ、その場になって、咄嗟にそういう落ち着いた対応ってしにくいものかもしれません。
でも、事前にそういうことを心がけておくだけでもだいぶ違うと思います。
それから、もしこのレポートを技量の有るサイクリストの方がお読みでしたら、無理な追い越しなどしないようお願いしたいです。
TdT コースはただでさえ走りにくいので、道路上の安全なライン取りがしにくいんです。突然無理な追い越しなどされると初心者は混乱して危ないラインに乗りそうな気がします。
追い越しの際にはせめて相手に声掛けをお願いします。
僕は今回 TdT に参加することになって「復興支援」という事をバカな頭で考えて、「自分に出来ることって何かな」と自問してみたんですが、あんまり気が利いたアイディアって浮かびませんでした。
ただ、ぼんやりと「このイベントが長く続いてくれるといいんじゃないかな」って思いました。
震災の記憶って、(敢えて言うと叩かれそうですが)絶対に薄まると思うんです。
たとえば現在「終戦記念サイクリング」なんて開催しても、ほとんど関心を呼びそうに有りません。震災に負けず劣らず大きな災害では有りますが、なにせ昔の事なので一般の興味は低そうです。
とはいえ、前向きな気持ちで日々過ごす人にとって、過去の景色が薄まっていくのはある種自然な流れだと思うんです。一概に非難は出来ません。
でもだからと言って、それを口実にして巨大な哀しみの塊が無かったかのようにのうのうと日々過ごすのも罪深い気もします。
「じゃあ、どうするの?」
という問いに対する完璧な答えなんて無いと思うんですが、僕は自転車乗りの立場として「この TdT というイベントを今後成熟させたい」と思いました。
この TdT が魅力的な自転車イベントとして定着してくれれば、継続して若い世代に震災の記憶を伝えていく事も出来るでしょうし、上手くすれば町おこしの一つとして地域に貢献できます。
なのでそのために、まずは今回初めて開催される TdT を成功させたい。
事故を起こす事で、主催者側、参加者側の双方に嫌な思いを残したくない。
そう思って、僕はこのレポートを書きました。
今回初めて行われる TdT に参加できることはある種光栄なことです。
みんなでこのイベントを成功させ、長く続けていきましょう。
どうか皆さん事故や怪我に遭うことなく、笑顔で完走してください。
[補足]