別府までの穏やかな道

走行ルートはこちら

泉水 昨日の走りの疲れなど全く無く、二日目の朝は六時に目が覚めた。今日は豊肥線の宮地駅から犬飼駅まで電車で行き、そこから別府までの30キロ強を走る予定だ。しかしその肝心の電車は10時近くにならないと来ない。ローカル線のリズムがのんびりなのは当たり前だが、それまで宿で時間をつぶすのももったいないので、阿蘇神社に行くことにした。

ここの神社は健磐龍命(タケイワタツノミコト)という氏神を祭っている。立派な楼門が有名だが、僕はそれよりも門前の泉水に惹かれた。冷たい澄んだ水がこんこんと湧いている。一口飲むとべらぼうに旨い。早速この日の走りでいただこうとペットボトルに汲み取った。こうしてプライベートランレポートを書いている今でも、この水を飲むためにまた阿蘇神社まで行きたいなと思うくらいだ。

ところで神社で観光客然と写真など撮っていたら話しかけてくる人が居る。僕より5歳くらい若い会社員だ。聞くと彼も輪行が趣味であちこち回っているらしい。話が合い、今まで何処行った事があるか、だの、今から何処に行きたいか、なんて事を言い合い楽しい時間を過ごした。その際に僕が「明日は国東を回るつもりなのだ」と言ったところ、彼は「それなら富貴寺がお勧めだ」と言う。そして自分の車に走っていったかと思うと国東マップを持ってきてくれた。これは見やすい地図で、翌日とても役に立った。名前は聞かなかったが彼には感謝している。

その後九州横断特急で犬飼まで向かう。が、車内放送を聞いているうちにある間違いに気づいた。どうやらこの電車は犬飼駅には停まらないらしいのだ。犬飼を越すとその分今日の走りは短くなってしまう。それじゃあ折角輪行旅行に来た甲斐がないので、車掌に確認し犬飼駅より数駅手前にある「三重町」駅で降りることにする。十数キロ予定より増えるが、何とかなるだろう。

江内戸の景 三重町から大分までは大野川に沿った道を走ることになる。起伏が少ない緩やかな下り道だ。

走り自体はやや退屈だが、その分景色を楽しむ余裕が有る。落ちている栗のイガを避けたり、稲田を渡り来る風を受けたり、落ち葉焚きの香りを嗅いだり、とあらゆる感覚で楽しめる。走りに来て良かったなあ、とつくづく思った。街中だとこうはいかない。信号のタイミングや背後から来る車に注意を払わなければいけない。それらは重要な感覚だが、サイクリングの楽しみとはまた別の次元の話だ。

竹瓦温泉 やがて大分に着き、それから別府へと向かうわけだが、そういうわけでそれら市街地の道についてはあまり書き留める事もない。強いて別府について挙げるなら、自転車や走りとは関係ないが、竹瓦温泉が印象に残っている。風情があるとでも言うのだろうか。いい温泉だった。


タイトルページへ
前へ
次へ