最終更新日: 2009年6月2日
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弥次喜多道中【後編】2009年5月

O湖&N沼 湖と沼の相性はいかに?part2

 え~このご報告はN沼さん「弥次喜多道中沼田新潟編」の後編です。まだの方は先に前編をご覧になってからをお薦めいたします。

GWさなかの5月2日早朝、わたしは横浜の自宅を勇躍出立いたしました。
とりあえずの目的地は江ノ島、ここでN沼さんと落ち合います。
そして目指すは群馬県沼田市、この地は前回ツーリングで新潟を目指した出発地です。
つまり太平洋江ノ島から本州の分水嶺を越えて新潟日本海へと横断する、壮大にして稀有な計画を弥次さん喜多さんは立案したのです。
またこの計画はのちに控える「佐渡ロングライド」完走のための前哨となるものです。
この計画を前編後編の2分割で達成するにあたり、残り半分を走るのが今回の目的でありました。

ランドナーは前日整備したのが慌ただしかったです。
タイヤは片方だけともいえず(前編参照のこと)前後輪とも新品にいたしました。
新潟ではまさかのタイヤ破裂、その場に擱座し応急修理に80分も要しましたっけ。
軽快に走ろうと6気圧も充填したのがタイヤには耐えられなかったわけで。
思い返せば三国峠を下るあたりから後輪に微妙な振動を感じてはおりました。
まさかタイヤが裂ける前兆だったとはね、ずぼらなわたしはその前兆を顧みることなく破局へ向けて突き進んでいったわけでして。
パンクの際リムを路面に強く打ちつけたためか、リムに縦横の振れがかなり出てしまいました。
新潟から帰宅後、スポーク張力を調整して念入りに振れを修正したつもりだったのですけどね。
とはいえ横振れは直ったけれど縦振れを少し残してしまったのが心残りではありました。
ふつうならば縦振れから取っていくのですが、ちょいと面倒だったので…。
これがあとで致命傷になりました。
また前側の変速ワイヤーを交換、これは前回沼田市近郊に於いて切れましたので。
これも応急処置ゆえTAのトリプルチェンリング外側が使えず中間と内側の2枚だけで新潟まで行きました。
今回はそのときの教訓としてまん中のチェンリングを34Tから42Tに交換し、外側のチェンリング(48T)に対してクロスレシオにいたしました。
これはアウターリングに変速不能な場合でも違和感なく踏めるようにと意図したわけです。
また前回は新潟平野で強烈な向かい風に難儀したのでこの対策でもあります。

そして後篇出発の当日、走り出してしばらくして後ブレーキを掛けたところブレーキシューの当たり具合がよろしくありません。
ありゃ、これはいかんな舟ゴムの固定が甘かったか。

しかし直している時間がない、N沼さんとの待ち合わせに遅れてしまう恐れがあるので先を急ごう。それまで前ブレーキだけでも大丈夫とそのまま走り出します。
鎌倉街道をしばらく行き、ウォーミングアップもそろそろ切り上げようかというとき。
ここからは通常レシオにて走行すべく前ギア板を中間から外側に変速しました。
するとジャラジャラとチェンの擦る音が消えないのですよ。
前変速器の案内板を微妙に動かして調整を試みたものの完治せず、後でよく診ることにしてとりあえずこれもそのままにして先を急ぐことにしました。
追い風に押されるようにして約50分後には江ノ島到着、島の入口にN沼さんが待ってくれています。

ここで時間を借りて本格的に点検することにしました。
例によってN沼さんに手伝っていただき(前編新潟でパンクのときと同じく)サドルを掴んで車体を持ち上げてもらいます。
後輪を1回転させるやリムの縦振れが凄いのをN沼さんは一瞥して見抜きました。
わたしはタイヤがリムにきちんと嵌まってないからだと思っていたのでしたが、実際は江ノ島までの約20Kmを移動している間にリムの縦振れが増幅していたのです。
後ブレーキが効かないのは、楕円形に変形したリムの長円部で舟ゴムがリムを噛めずハブ側に潜ってしまうからだと判明しました。
わたしは上下動するリム側面の中間部分に舟ゴムを当て解決しようとしたのですが、振れ幅が大きすぎてどうにも対応できません。
呆然とするわたしに対してN沼さんは「舟ゴムを斜めに傾けてリムに当てたらよいのでは」との助言をくださいました。
それは効果てきめんで、効きは緩いながらも後ブレーキが掛けられるようになったのです。
また外側チェンリング使用時の音鳴りは、前変速器内側のガイドプレートが斜め上方に移動する動作中に中間リングの歯に引っ掛かってしまうからだと判明しました。
これは前変速器を上方にずらして解決できるのですが、面倒なので内側の2枚だけで行くことにしました、これでは新潟行の際とあまり変わりませんが。
だいたい整備したら試走すればよいところ「面倒だから」ぶっつけ本番にした報いです、わたしの癖なんですね。
N沼さんは他にも右後エンドの泥除けステー止め達磨ネジ(ベニックスSX-TBはこの部分特殊)が規格外であることなど次々と指摘されました。機械に対する驚くべき観察眼です。

そのN沼さんの愛車は今回大幅に仕様変更されていました。
荷物を前後に分けて積載し、とりわけデイパックを後部積載架(写真参照)に載せたことにより精悍な佇まいを見せております。

前回ツーリングではこのデイパックを背負われていたので、体力をかなり消耗されたのではと心配いたしましたが。今回は車体に載せて軽快に走行できるので、人間エンジンも効率的に稼働いたしましょう。

頑丈そうな黒い積載架、よく見れば微妙に色合いが深く木目のようにも見えます。
N沼さんの説明によると本物の木製だそうで、木工製品を製造販売されている彼のオリジナルなのでした。
それもコンパクトに脱着分解できるフォールディング式です。

本体は取り付け角度が綿密に設計され、シートポストを挟み込むようにして4本のボルトにより確実に固定されます。
躯体に対して直角に2本の支柱が渡してあり、これが荷物の支持台になっているのです。分解すればデイパックに添わせて容易に持ち運びができます。
自作品として強度耐久性を試し分析するには今回ツーリングはまさにぴったりの機会ですね。

修理調整もいじりだすと切りがありませんが、しかしこれ以上は走行時間を削ってしまうので見切り発車することにしました。

基本的に追い風なので快適に走れます。昼ごはんは八王子にて食すことを目標に、境川に沿ってひたすら西進しました。根がまじめな二人ですから機械のような正確さで八王子着、定食屋で○-○も。

午後も追い風、新潟平野で難儀した分今回は楽させてもらってます。

3時のお茶をファミレスにて。エスプレッソとジェラートで優雅にティータイムです。
夕暮れに東松山到着、ここまでに100Km超走行して本日のノルマは達成。
しかし泊まるべき宿舎が見当たらず、残業してさらに熊谷まで進出することにしました。

熊谷市街ではもうとっぷりと日が暮れて駅前の赤提灯がおいでと手招いておりまして。
まず宿舎を確保し、銭湯へ。ビジネスホテルの浴槽は狭くていけませんや。やっぱ風呂っていうのは脚が伸ばせないとね。
自称走る銭湯マニアの2名は電話で所在を尋ねた街の銭湯を目指しました。
この伝統的銭湯の親父さんは目標物を教えてくれましたが「言葉で説明できるのはここまで、あとは住所をみながら探しておくれ」だって。
ほどなく到着したのが俗にいうスーパー銭湯、おかしいな我々が探しているのはこんな立派な処じゃないぞと辺りを見廻し、N沼さんが道行く人に訊いてくれました。
すると近くに目的の銭湯が確かに在るとの回答を得まして、いそいそと向かいます。
銭湯探しのコツは、明るいうちは平屋でありながら屋根の高い独特な2階建てふうの建物で、日が暮れたら夜空にそびえ立つ煙突のシルエットです。
たいていは人通りのある商業地区とか商住混在地区に所在しますね。
この辺りは典型的な住宅地ですが、その中にぽつんと場違いな感じで目的の銭湯がありました。
入浴料は410円で横浜地区より40円も安い。番台で石鹸を求めたついでに石鹸箱があるか訊いたら懐かしのセルロイド製のがありましてこれも土産に入手いたしました。

あ~幸せ、これでビールを戴けば本日の業務は終了ですねなどとはしゃいで宿舎にチェックインします。この日137Kmを走行し、最長距離を記録いたしました。
自転車を建物に収容してもらいたいのでフロントのお兄さんに頼んだところ上司の決裁を得て承諾されました。
「わたしの自転車はともかくこちらの『コルナゴ』は高価ですからね、軽自動車の購入価格くらいしますので盗難に遭わぬよう屋内に入れさせてください」と申しましたらビビってましたっけ。ちょいと大袈裟でしたが今後の自転車旅行者の増加を見据え、宿泊受け入れ側の啓蒙を図る必要がありましょう。
事実「佐渡ロングライド」に於いて佐渡汽船スタッフは輪行袋を丁重に扱ってくれました。
カーボン製など高価な素材のものは盗難の対象となりやすく壊れやすくもあるので、ぞんざいに扱われることは集客に水を掛けることになります。
観光業に従事する方々は今後心掛けてくださればと存じますし、今回この親切な待遇におおいに満足いたしました。

でもその二人が食事するのは大衆居酒屋です。あまたある居酒屋の看板でこの店が一頭図抜けておりましたので。看板に描かれた魚介類がとても美味しそうだったのですよ。
でも酔っぱらいは「エイひれ」や「イカの一夜干し」くらいで満足でした。身体がコラーゲンとかタウリンを欲しているのか、やはり疲れているのでしょうね。

早々に就寝して翌早朝の出撃に備えました。


 翌日は新前橋にて昼食、蕎麦マニアのふたりは寂れた駅前商店街で唯一軒気を吐いて営業していた手打ちふう蕎麦屋に入店しました。

N沼さんの注文したカレー南蛮、なぜ「南蛮」というのかが不思議でしたが、その解答は5/10(日)KCA県外サイクリングまで待つことにより氷解いたしました。

食休みの公園で頭上の鳩を眺めているうちに思わず寝入ってしまいまして、N沼さんに「時間だよ」と覚醒させてくれるまで大いびきをかいていたのが恥ずかしかったです。

渋川から沼田にかけて、河岸段丘独特の地形に感嘆しつつ利根川に沿って遡るのがじつに楽しかったですね。

緩やかな上り勾配に適度なアップダウンがあり、風向きが良かったので自転車行の醍醐味を堪能いたしました。

昨日残業したおかげで早めに沼田駅に到着です。

この日の走行は81Km、2日間で累計218Kmですからクロスバイクやランドナーで行ったにしては上出来でありましょう。

また前編と併せると延べ5日間で468Km、これは弥次さん喜多さんにとって人生の記念碑的な事業となったに違いありません。

この町にはヘルスセンターふうの温泉がありまして、ここでも銭湯マニアの2名は北関東に於ける公衆浴場視察の名のもとに入浴いたしました。
さっぱりとしたところで駅前にて愛車を分解、中華料理屋で計画達成記念ビール会を開催です。

今回ツーリングにて残念だった反省点は、仕上げとして河岸を替え「十割そば」を食す予定だった向かい側の蕎麦屋が売り切れ閉店してしまったことでした。
前回新潟駅前で「へぎそば」を食せなかったことと相まり、蕎麦マニアの2名はこのあたりを教訓とする必要があることを学習いたしました。つまり食材の仕入れと営業時間の関係です。
本番の「佐渡ロングライド」ではこの点怠りなく臨みたいと感じた次第であります。

 ※「南蛮」とは焼いた長ねぎを食材として利用した蕎麦うどんのことをいうそうです。
浦和サイクリングクラブの方が教えてくださいました。そういえば埼玉には「深谷ねぎ」で有名な産地がありますよね。       

 S.Ogo