最終更新日: 2009年8月2日
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                              【完結編】

佐渡ロングライドを振返って
2009年5月17日

 昨年、初参加した佐渡のロングライド。昨年は天候に恵まれ、絶好のコンディションの中佐渡を駆けた。初めての佐渡、初めての200km超のランなど不安材料はあったが、なんとか完走することができた。来年はどうしようかと思いつつクラブ内に案内したところ手を上げていただいた方が何名か。最終的にN沼さん、O湖さん、私の3名でチャレンジすることとなった。

ロングライド当日が近づくにつれて佐渡の天気予報の内容はあまりかんばしくない。だんだん降水確率があがり確実に雨が予想される状況となった。雨具の準備とともに是非泥除けを付けたい。近所のショップを覗いても良さそうなものが無い。前日やっとのことでフォークとシートステーに取り付けるタイプを購入することができた。これで雨対策は万全!と佐渡へ向け出発した。

 前日朝、東京駅新幹線ホームにて3名合流。新幹線の二階席に納まった。
新潟駅からはバスで佐渡汽船ターミナルへ向かう。ジェットフォイルの出発時間までは余裕があるため昼食用のおにぎりを買いに走る。バスは普通の乗り合いバスであるがさながらロングライド移動用バスとなり通路には十台以上の輪行袋がひしめく。それでも一般乗客の方たちもおり「明日佐渡で自転車イベントあるんだよ」などと語り合い降りるときは輪行袋を注意深く跨ぎながら降車口へ進んでいる。毎年佐渡でトライアスロン、ロングライドが行われているため新潟市民にも理解が深まっているように感じた。
15分くらいで佐渡汽船ターミナルに到着。今回は豪勢にも往復ジェットフォイルである。ジェットフォイルは早くて便利な反面、船旅の旅情はなく運賃も高い。
約一時間で佐渡両津港に到着。なんとか天気は持っている感じである。自転車運搬用のトラックに輪行袋を預け人間運搬用のバスに収まる。佐渡中央部の平野を30分ほど進み13時過ぎにイベント会場の佐和田に到着した。


 会場にはすでに多くの人たちが到着し自転車の組立て・調整やら受け付けを行っている。私たちも早速グランドの真ん中で輪行袋を開く。N沼さんの装備やO湖さんの新車に驚く。私も負けてはいない。泥除け付きだ!とは言ってもそんな装備の人は回りを見渡してもいない。少し肩身が狭い。
佐和田の町ではロングライド開催に合わせ大通りでイベントが行われている。フリーマーケットや出店、路上ライブや路上マッサージなどさまざまである。一旦宿へ戻る途中ぶらぶら大通りを歩く。

佐和田の町から今回の宿「八幡館」までは約3キロ。自転車の調子の確認をしながらのんびり走る。「八幡館」立派な宿であるが、安いグレードを選択したため部屋もそれなり。それでも今回の目的には十分である。夕方になるとぽつぽつと降り始め天気は下り坂の予報どおりとなってきた。夕食ではお互いの完走を祈念して乾杯。「明日も気持ちよく乾杯したい。」と思いつつついつい杯が進んでしまう。

夕食を済ませ部屋に戻る途中面白い物発見!おみやげコーナーの一画でトライアスリートご用達の補給食を販売している。見れば二種類のフルーツケーキがパッケージされているものだった。販売している方の話では「これを食べれば完走間違いなし」とのことである。ためしに一つ購入し「本当に完走できるんでしょうね」と念を押す。聞けば佐和田の町の菓子屋さんが出張販売しているとのことであった。
この日は明日に備え早めに就寝。

 いよいよ5月17日当日4時に目覚ましが鳴り起床。外は風と雨の音がする。残念ながら天気予報的中である。廊下に出てみると皆さんもう出発準備。私たちも負けないように急いで支度をする。外に出てみると降り方はそんなに強くない。これくらいで持ってくれればと祈る。

集合場所の広場にはすでに多くの人が集まっている。3人で互いに写真を撮りN沼さんとはここでひとまずお別れである。ゴール後笑顔で再会したいものである。
6時近くなり順次スタート地点に移動が始まる。5:45スタート開始。私たちは列のかなり後方に位置し、6時を少し回ったころにいよいよスタートした。タイムレースではないものの最初はついつい力が入ってしまう。雨は降っているものの快調に飛ばす。

最初の20km地点相川エイドステーション(AS)では昨年パスしたわかめそばをいただいた。続けて40kmの入崎ASを通過しZ坂に差しかかる。前半の難所ではあるが昨年苦労した記憶はない。しかし上り始めるとかなり勾配はきつい。みるみるO湖さんに置いていかれる。ま、「いいか。のんびり行こう」と写真を撮りながら走りはツーリングモードになってしまう。3箇所目のASはじき野は若干距離が長く32kmある。途中空腹感を覚えトライアスリートご用達の補給食・フルーツケーキを食べる。フルーツが多目でおいしい。なんとかASまで持ちそうである。

ようやくはじき野AS到着。強い降りではないが雨は依然として降り続いている。用意してある補給食や熱いお茶をいただき一ここちつく。O湖さんはもう先に行ったかなと思っていたら落ち合うことができた。またここから一緒に走ることになる。O湖さんは好調のようで雨の中でもペースは下がらない。こちらはやる気もペースも次第に低下。それでもなんとか中間地点両津BS(弁当ステーション)に到着することができた。100kmコースの人はここがゴールであり、次々とゴールしている。うらやましい。
天気が良ければごろんと寝転び十分休憩が取れるが、今日はそうはいかない。へたをすると昼食も立ってとらなければならない始末である。それでも熱い味噌汁がおいしかった。

午後になると雨足が強くなってきた。ほとんど土砂降りである。ときどきチーンと音がする。最初は何かなと思っていたら、雨粒がベルを直撃したときの音であった。また、下り坂では顔に当る雨粒が痛い。本当に最悪のコンディションである。ますます戦意喪失である。それにしてもO湖さんは快調であ。みるみる離されてしまう始末である。

なんとか140km地点多田AS到着。本当はのんびりしたいところであるが、制限時間が迫っている。途中のんびりしすぎたのと、悪天候のため貯金が残り少なくなってしまった。制限時間10分前にASスタート。相変わらず雨足は強いが、途中住民の方たちが声援を送ってくれ励ましになる。

かなりめげた状態で14:50 162km小木AS到着。ここで少し雨は小降りになってきたが、制限時間直前。私は正直「ここでリタイヤかな」と本当に考えた次第である。O湖さんは一生懸命補給食を摂っている。O湖さんにリタイヤを持ちかけたところ「走れるとこまで走ろう!」との言葉が帰ってきた。それで一生懸命食べていたのかと納得もし、その図太さに感心した。不思議と「こうなったら何が何でも完走するぞ」という気持ちになってきた。考えてみれば次のASまでたどりつけば最後の区間は2時間で30km、楽勝じゃないか。
ということで時間制限1分を切ったところでスタートした。この区間には高度は低いが急勾配の坂が控えるが、もう迷いもなく前進あるのみである。

その後幸いにも雨が小降りとなってきた。道は次第に細くなり小さな漁村にさしかかる。こんな時間でも声援を送ってくれる人がいる。まことに勇気付けられる。いよいよ距離は短いが、急勾配の坂の区間に入った。あと二つ越えれば最後のエイドステーション素浜である。時間は・・・制限時間の16:00にはあまり余裕はない。一つ越え、そして二つ目の急坂を越えた。後は坂を駆け下りASを目指すのみである。ここでO湖さんが遅れた。これまでかなりのペースで来たので疲れが出たのかとその時には思った。(後で聞いた話しではマシントラブルに見舞われたとのこと)

O湖さんも来た。再出発である。残り8分しかない。もう後ろも見ないでひたすらペダルを回す。途中最後のASを通過、折り返した皆さんとすれ違う。その人たちは左折して丘を上って行く。あとわずかであるが時間はほとんど無い。ASに到着すると無情にも係員が両手を広げて来た人を制止していた。そこに次々にAS目指して走ってきた人たちが到着してくる。時計を見ると16時を数分回っている。だめもとで「今日の悪天候を考慮しないんですか!」と大きな声でアピールしたところなんと広げていた両手を下げて折り返しの誘導の合図を始めたではないか。なんとか最後のASを通過しゴールを目指すことができることとなった。周りの人たちから「ナイスアピール!」との声が上がった。O湖さんもこの間に追いつき無事合流してゴールを目指すこととなった。

しばらく進んで左折し、また坂にさしかかる。見渡す限りほぼ9割以上の人たちが自転車を押している。私はなんとか一番軽いギヤで乗り切ることができた。坂の上でO湖さんを待つ。さきほどのASでは到着、即スタートだったため空腹感を覚える。ここで二つ目のフルーツケーキを食べる。「これを食べると完走できるよ!」のご利益があったようだ。
再度O湖さんと合流。自転車が調子悪いとのこと、私は先行して最後の坂を下りきった地点で待つこととした。もう焦る必要はなく悠々と丘を越えそして下り予定の地点に到着した。残り約7kmで1時間以上ある。近くの民宿の軒下に腰を掛けO湖さんが到着するのを待つ。しばらくするとO湖さんが目の前を通り過ぎて行った。あわてて食べかけていたソーセージをしまい込み後を追う。思っていたより早く来た。マシントラブルとは言え恐るべしO湖パワー。追いついて並走する。もう急ぐ必要は無い。
途中の交差点でN沼さんに連絡を試みる。無事完走し、今ゴール地点にいるとのこと。良かった。ゴールシーンの写真撮影を依頼し再度スタートする。
途中ですでにゴールした人たちとすれ違い「あと少し、ガンバッテー」とエールをいただく。

最後のカーブを曲がると遠くにフィニッシュゲートが見えた。ここからは二人並んで走った。ゴールにはN沼さんがカメラを構えている。「ゴール」することができた。

昨日自転車を組み立てたグランドに移動し完走証をいただく。無事完走できたという気持ちがこみ上げてくる。本当に良かった。
昨日ぶらついた商店街へ立ち寄り今晩の完走祝いニ次会用品を購入する。そしてトライアスリートご用達補給食を販売している菓子店「プチドール」へ立ち寄ることにした。ほどなく探し当て店内のイスに座りくつろぐ。完走のお礼を述べ、明るく積極的な女将さんとしばし談笑する。最後にはお菓子製作担当の旦那さんまで出てきてくれた。

両手にニ次会用品を携え宿へ向かった。もう暗くなってきていたが、今日はもう休むだけである。旅館では玄関先に自転車を掃除する用意ができている。うれしい配慮である。掃除もそこそこにして部屋に戻り風呂に入り食事会場へ行き、カンパーイとなった。本当にうれしい乾杯であった。
部屋に戻ると二次会。でももう私は飲む元気はありませんでした。引き続き楽しんでいる二人のなんとタフなこと。

翌日は所用のためみなさんより早く起床して出発。同一行動とれず大変失礼いたしました。

ロングライドを終えて

 何でロングライドを走るんだろう?と、ときどき思う。冷静に考えれば私としては同じ費用と時間をかけるのであればのんびりツーリングが絶対良いのは間違いない。しかし、友人・メンバーと共に参加し努力し完走する。その達成感はまた格別である。
ツーリングにはツーリングの出会いや楽しみがあるが、ロングライドのようなイベントにもまた出会いやいろいろな思い出を作ることが出来ると感じた今回の佐渡でした。皆さん来年はどうしますか?

                       Onodera