2011年12月
西伊豆海岸 忘年ラン
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基本データ

クラブラン実施日 2011年12月23日(金祝)~24日(土)
クラブラン名称 西伊豆海岸 忘年ラン
コース概略 初日 JR沼津駅⇒三津⇒大瀬崎⇒戸田⇒土肥 55km
第2日 土肥⇒賀茂⇒松崎⇒マーガレットライン⇒石廊崎⇒伊豆急下田駅 77km
上り獲得標高 初日 716m
第2日 1,375m
集合場所 JR沼津駅前ロータリー(海側)
クラブラン担当者名 O湖
レポート担当者 O橋M川N川O湖
参加者 O橋、M川、N川、O湖 4名
使用機種 ロードバイク 2機、シクロクロス(700×23C仕様)1機、スポルティフ 1機
天候 初日 曇り微風、肌寒し
第2日 快晴、日中温暖。ところどころ海より断崖へ吹き上げる強風あり
酒・ビール消費量 初日 ビール大瓶×7本、二合徳利熱燗×6本(1名あたりビール1.1L、酒0.54L)
第2日 ビール500ml缶9本(1名あたり1.5L)

「西伊豆海岸忘年ラン」レポート O橋

 今年最後のランはお泊りツーリングです。沼津から下田まで走って良し、食べて良し、宿も最高!の思い出深いツーリングになりました。
 私にとって初のお泊りツーリングと言いたいところですが、思い返せばお盆休みにソロで2泊3日ツーリングを走っていました。お泊まりはこれが2回目なので装備は万全です。持参品を必要最低限に絞り、軽快な走りで下田まで行くことができました。

【沼津駅前にて出発準備、相棒は一番手前のジャイアントPACE】

 当日の装備は、シートポストにサドルバック装着に加え、軽量ディパックを背負うスタイルです。今回のツーリングにより、実際にはディパックはなくても問題はなしと検証できましたので、次回ではさらに軽装な旅姿になろうかと思います。
 今回気を使ったのが寒さ対策でした。 O湖さんの事前アドバイスが非常に参考になり、防風性の高い冬ジャージ+ウインドブレーカ、化繊のアンダーウェアを組み合わせて快適な2日間を送れました。

 当クラブに入会して様々な企画に参加すると、経験年数が浅くてもレベルアップが図れます。興味のある方はぜひ参加してみてください。 一人で走っていると、どうしてもあるところで行き詰る感がありましたので、クラブに参加させていただき大変良かったなと感じております。
 コースの難易度は中級レベルとのことですが、O湖さんのペース配分が絶妙で問題なく完走することが出来ました。今回私は隊列の最後尾を任されましたので、安全走行に関してのポイントも勉強になりました。また2012年のYMCC三浦半島クラブランは、私が企画しますので非常に参考になりました。

 道中には、私のためにあるのかとも思える地点があって…、次回ここに来るときはカップルで写ることができるよう、初詣のときお願いしようっと。

【待ちびと来たり「恋人岬」のひと】

土肥パート M川

 4名遅れることなく集合後、沼津から南下する。晴れの予報だったと思っていたのだが底冷えのする曇り空の下、250mほどの峠をいくつか越え土肥を目指す。ようやく16時過ぎに到着するころ晴れてきた。
 土肥港からいまや沈まんとする夕陽を防波堤に登り見送る。水平線に届くそのとき、遅れてきた見知らぬアベックを急がし、ロマンティックな瞬間のお手伝いなど善行を積む。そのおかげか、翌日は快晴でした。

【薄暮の土肥港防波堤】 【土肥海岸より駿河湾の日没を臨む】

 さて、お世話になったのは民宿「美浜」さん。うれしいことに100%天然温泉。冷えた身体にはありがたい。浴衣、バスタオル、歯磨きなど民宿の域を超えたサービス。新鮮な海の幸とアルコールで至福の夕食を済ませ部屋に戻ると、なんと布団まで敷いてありました。O橋さん曰く、「YMCCの隠れ家にしよう!」。

【食べきれないくらい豪勢な夕食】

 その夜は、温泉で暖まったためか、腹がくちたためか、はたまた年末の疲れのせいか4名は10時には潮騒を子守唄にすっかりスリープモードに入ったのでありました。

石廊崎~下田~帰路車内 N川

 このコースは合計高低差2,357mであるし、“かなりきつい”とのコース評価でした。
 O湖さんからこのランの誘いを受けた時に、これはN川にとって“かなり不可能”なコースかと考えましたので、途中リタイアも覚悟で参加を決めました。
 実際、過去にN川は、沼津から約40Kmにある西伊豆戸田港までの個人ランにおいて、上り坂がきつく既に3回も途中リタイアしております。

 今回のランまで一カ月半のトレーニング期間があったので、今まで途中歩いてしまった湘南平、足柄峠、箱根峠(3コースを各1回)を上ってトレーニングしました。西伊豆海岸をイメージしながら、スローでもよいのでとにかく歩かずに乗車して走破しました。
 今回、上りでは大湖さんが絶妙のタイミングで小休止を取るので、歩くことなく走り切り、N川としては大きな自信を得ることができました。

【快晴の伊豆西海岸、右方の断崖を越えてきた】

 N川は、下りではニュートンの法則に従い、体重にまかせて先頭のO湖さんを抜く勢いで疾走。しかし上りとなるとたちまちO湖さん、M川さん、O橋さんから遅れ、3人のお尻の形が眼に焼付くようでした。
 日照時間の関係で、石廊崎へ0.4Kmの分岐点で進路変更したので、石廊崎は通過することになりました。終盤の石廊崎から下田駅までの比較的フラットな20Km弱の道は、「ツールドフランス」のパリ凱旋門へのファイナルランの気分で走りました。

16:30下田駅到着、17:00発の特急「踊り子号」に乗るべく、時間一杯で輪行袋に急ぎ収納。時間にゆとりの無いなか、 完走乾杯のビールだけはM川さんがしっかり買い入れてくれました。車内で乾杯し、大橋さんからは車載ナビゲーション装置による、走行時の電子データ詳細報告がありました。

 電車内では車内販売が無く、アルコール補給は伊東駅での8分の停車中に、改札口の外にあるキオスクでのみ可能とのこと。事前に綿密な作戦計画で、M川さんが購入品搬送、O湖さんが支払い担当となり、二人は自転車より早く駅構内を走りました。O橋さん、N川はこのふたりが間に合わない場合に電車の発車を遅らせる役となりました。

今回、O湖さんがいつもトップで最適なペース配分を保ち、M川さん、O橋さんはN川の前になり後ろになり見守ってもらいました。ペース配分も含めてN川のレベルに落としてもらい、皆様の足手まどいになったのではと懸念しています。

天気良し、料理良し、メンバー良しで最高に楽しませてもらいました。ありがとうございました。

第2日目 薄暮の下田街道 O湖

【土肥海岸にて駿河湾を臨む】

 午後4時を過ぎて夕暮れとなり、周囲の景色は赤みを帯びてきました。 もうじき日が暮れる、それまでには伊豆急下田駅に到着したいなあ。
 一行は国道136号線に合流し、下田まであと10kmくらい。このあたりから車輛渋滞が目立つようになりましたので、路側帯を注意しながらゆっくり進んでいくことにします。
 きのうは土肥海岸で日没を眺めたけれど、今日は明るいうちに下田駅に着きたい。みなの気持ちを汲んで、M川さんはハンドル装着のナビ装置を駆使し、下田市街地を巧みに誘導してくださいます。おかげさまでなんとか日没までに到着できました、あーよかった。

【恋人岬バス停で愛機メビウス・スポルティフとともに】

 いやあ、今回はN川さんに翻弄されましたね。新人ながら素晴らしくダイナミックな走りをなされる、これからおおいに期待されますねぇ。とりわけ下り路のコーナリングには天性の素質を感じました。いちどブラインドの左コーナーでインから抜かれ、ほんとうに仰天しましたよ。

 O橋さんには全行程にわたり、前方3名を直掩するよう後尾に位置してくださいとお願いしました。常に3名の動向に目を配り、前方でなんらかの障害が発生しても冷静に対処してもらうためです。これを担当するには体力、技術、構造知識など多くのものが要求されます。
 O橋さんのように明日のYMCC活動を担う中堅会員には、さらなる高みへ上がっていただくためのトレーニングでもあります。このところ彼は成長著しく、ロングライド練習会のヒルクライムでは、わたしがちぎられてしまうようになりました。くやしぃー(-_-;)

【大瀬崎を高所より見おろし、休憩しているところ】

 下田駅到着後すぐに愛機を折りたたみ、輪行袋に収納することに。同時に乗車券売り場で時刻表を眺めると、17:00発車の特急「踊り子号」があります。上り特急はこれが本日の最終ですから逃す手はありません。4名分の特急券を購入して駅舎の時計を見上げると16:40分でした。 えーっ、発車まであと20分か、収納作業は間に合うだろうか…。
 先に収納を終えたN川さんとO橋さんがわたしを手伝ってくれて、意外に早く一丁あがり。一方でM川さんは「燃料」を調達しに売店へ。さすがですね、重要事項を先々までよく見通しておられるところは生粋のYMCC人です。とりあえず1名あたりビール500ml缶1本の配給をいただきまして、あとの補給は車内販売に頼ろうということになりました。 4名のみごとな連携により、輪行作業と乗車券ならびに燃料の調達とは、短時に完了することができました。

 発車のベルを聴きながら、向かい合わせにした座席にくつろぎ完走乾杯です。これはチャリングのもうひとつの醍醐味ですよね。道中無事に過ごせた安心感が、苦いはずの泡を蜜のように感じさせます。これならいくらでも入るはいる…。
 というわけで、じき燃料切れになりそうに。そろそろ補給のことが気にかかります。けれども売り子のおねいさんが、待てども暮らせどもやってきません。N川さんが検札の車掌さんをつかまえて訊ねると、「この特急は臨時列車なので、車内販売はありません」とのことでした。
 その瞬間、わたしたちのボックスとその周囲からも、不安気などよめきが一斉に沸き起こりました。たたみ掛けるように「停車時間の長い駅はありますか」と問うたところ、伊東駅では8分間あるとの回答が。
 ふむふむ、ここで周到な作戦会議が開かれました。収集した情報によると、売店は改札口の外にある。ならば停車直後に脱兎のごとく駆けだして、その売店をめざせばよろしい。売店まで往復2分、買い物に2分、支払いの順番待ちに2分とすれば合計6分か。まだ2分のゆとりがあるぞ。
 「遅れてもなんとか発車は阻止するから」とか、「そのときは急病をよそおい発車を遅らせます」とか、目を見張るようなきわどい提案もありましたが、それでは違法行為になりますからね。YMCCサイクリストは、コンプライアンス(法令順守)に忠実でありたいものです。

 M川さんとわたしの2名は突撃隊に志願しました。列車が伊東駅にすべり込み、乗降扉が開いた瞬間にふたりは駆けだします。ふりむけば目的を同じくすると思われる若干名の選手が、後を追ってくるではありませんか。まるで餅や松明を取り合う神社の祭礼のような趣です。
 わたしが支払いしているあいだに、M川さんは「燃料」を抱え駈け出してゆきました。作戦どおり任務は成功し、再び慰労会が始まりました。8分後の発車時間は、定刻どおりに守られたのです。

【特急「踊り子」車内のクリスマスイヴ】

 ボックスシートに腰掛け、缶ビールでたがいに2日間の敢闘を讃え合っていると、向かい合わせに座っているM川さんが誰かに似ているように思えました。
 細おもてで鼻が高くて優しいまなざしのM川さん、彼を長髪にして眼鏡を丸いレンズのものに換えたら…、そう「ジョン・レノン」ですね。楽曲によって愛と平和を政治的に訴える偉大なミュージシャン。以前はかの「ビートルズ」に在籍していたとか。
 いままさにジョンがM川さんに降りている。周囲からは「ハッピークリスマス」が静かに聴こえてきました。War is Over …、とても幸せそうなクリスマスイヴ。
 わたしたちはこのような時代にあっても、チャリングさせていただけることに感謝しよう。
 過ぎゆく2011年、国内では大震災に見舞われ、各国で紛争が続き、通貨や債券価額は乱高下してあいかわらず経済が混迷に陥った年だった。
 被災された多くの方々、避難を余儀なくされている多くの方々が安寧な生活を取り戻し、早期に復興されることを願います。そして平和で飢えることのない、平等で豊かな世界を実現できることを願います。

2011年12月
西伊豆海岸 忘年ラン
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