YMCC実践メカ講座
「クランク交換の作業要領について」
制作監修:O湖
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その4 前変速器の交換


チェンリングを交換した際、ついでに前変速器も「シマノXTR」に交換することにしました。

前変速器を外したところ


新しい変速器の取り付けは、外した時と逆の順序で組み付けますが・・・


「シマノXTR」はガイドプレート後端部が一体構造になっているので、チェンを切ってガイドプレートに通す必要があります。

専用工具「チェン切り」で切り離す


ピンを抜き落とさないようご注意!


ピンをプレートから抜いてしまうと元に戻らなくなってしまいます。
ピンはプレートの皮一枚で残しておくこと(この作業は現代にもめずらしくアナログ的、勘と経験をおおいに必要とします)。

プライヤーでピンを押し込んで繋ぐ


チェンをつなぐときは、仕上げにだけチェン切り工具を使ってピンを押すこと。
ピンの頭の高さが、他のピンの頭と揃うよう慎重に位置決めします。
不揃いだと走行中にチェンが切れたり、変速時に引掛かったりするので注意のこと。


交換後の「シマノXTR」
基本構造は取り外したものと同じパンタグラフ型ですが、鋭く強力なチェン脱線力を有し、キャパシティ(大小チェンリング歯数差の容量)が多くあります。

ガイドプレートの内側、外側移動量を調整する












取り付けバンドを締めるボルトには、ネジ部にグリスを塗って締め込みます。
滑りが良くなって締め付けトルクの微妙な調節ができますし、防錆にもなります。

締め付け不足だと、変速時にガイドプレートが動いて位置がずれてしまいます。しっかり固定しましょう。


チェンラインが適正か確認する


ガイドプレートの向きも重要です。商品同梱の取扱い説明書をよく読みましょう。

変速器交換前


変速器交換後


アウターリングにチェンを掛けたところです。
外側のガイドプレートとチェン上端との隙間を適正な間隔に詰めました。
チェンリングと後フリーホイルとのチェンラインも適正です。
自転車は走法、航法、構造(メカいじり)の三拍子で楽しいですね。

補足:あとがきに代えて

 今回の教材を取り付けたのは、伝統的な鋼管製フレームでした。 鋼管は部分的な外力にも強いので、締め付けトルク過多によってフレームが変形したり破損したりする前に手加減する余地があります。 これを近年流行りのカーボンフレームでやった場合、カーボンチューブの繊細な材質は不躾な締め付けトルクに拒絶反応を起こします。 この取扱いにはぜひ慎重に臨んでくださいませ。 ためにカーボンフレームへの取り付け部は、バンドによらず取り付け台座を介した直付け(じかづけ)が多く見受けられるようです。

 また切ったチェンをつなぐ場合、これに張力が掛かっているとチェン切りを操作し難くなります。 当クラブWeb担当のO笠原さんは、クリーニング店で洗濯物に付けて返却される「針金製ハンガー」を加工したチェンフックを使っておられます。 このあたりの細かいデティール処理に、彼の几帳面さが見てとれますね。

O笠原氏による特製チェンフック


 いっぽうでわたしは、チェンを切るときもつなぐときも、チェンリングからチェンを外してだらりと垂れ下げるだけ。 デリカシーのかけらもございやせん。



チェン油にフッ素系の「乾燥タイプ」を使用しているので、チェンが地面に垂れても泥や砂が付着することはありません。
また輪行作業時に、手が汚れないという意外な副次効果もあります。


B・B部から垂れ下げたままチェンを切り、つなぐ。

 ま、チャリには流儀や作法など自由なので。扱いもそれぞれ、思い入れもそれぞれです。 それがメカいじりの良き趣味性と申しましょうか。 

以上


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