最終更新日: 2008年10月25日
コミュニケーション>プライベートランれぽーと>2007年1月沖縄本島北部

冬の沖縄・やんばる紀行 2日目

雨のやんばる

暗いうちに一旦目が覚めた。なんと雨と風の音がする。それも相当強い音が。「起きるまでにはやんでくれ」と願いながら再度夢の中。

目を覚ますと・・・無情にもまだ雨が降っている。風の方は回りの木がざわざわしてたせいであまり強くはなさそうだ。
8:00に朝食をいただく。昨日の人たちはいない代わりに、先生風の女性と同席であった。昨日の三糸の話になり、三糸は譜面なしで演奏と歌を同時に行うとのことであった。「練習したおかげで手が軽いさー」とにこにこしていた。私は、「わからないところは胸をはってクチパクでやれば大丈夫」とアドバイスした。(後で聞いたらちょっとぱくぱくしたそうです)
そんなこんなでのんびりし、出発は9:30。「パラパラ降る程度だからいいさー」との言葉に見送られ走り出す。今日は雨、向かい風、アッブダウン大いに有りという条件ではあるが一日しっかりやんばるを体感しようと思う。
とは言ったものの、やはり雨はつらい。カメラもバッグの奥へしまい込み走り始める。空はどんよりとして、海も同じようにどんよりしていると思った・・・が、海はエメラルドブルー。やはり沖縄である。雨模様ではあるが服装は昨日と同様短パン・半袖である。
昨日渡った屋我地島への橋を渡り、真喜屋交差点を左折する。いよいよ奥へ向けて出発である。

沖縄本島北端の奥へ行く道は西側と東側それぞれの海岸にある。西側は単調な海岸線で道路もそれに寄り添うように続いている。しかし東側の海岸はかなり入り組んでおり、道路は山へ分け入ったり海岸へ出たり、プロフィールを確認するまでもなくかなりのアップダウンが予想される。今日は西側の海岸を北上し始めたのであるが、2kmほど進んだ源河交差点で右折。本島を横断して東海岸に出て北上することとした。

海岸から離れるのにしたがって民家もなくなり、うっそうと茂る森の中となる。シダ類の植物や、熱帯性の樹木が多く見られる。時々木々がざわめく。もしやヘビが・・・と、それだけが心配であった。坂のピーク付近で本部町から東村(ひがしそん)へ入った。
10:50最初の集落有銘(あるな)に到着。わずかに海を眺めながら、ふたたび山の中に分け入る。そして20分ほどで慶佐次(げさし)大橋にさしかかった。と、なにやら河口の方からカヌーの集団がやってくる。インストラクターらしき人を先頭に4,50人ほどであろうか。どうやら修学旅行のご一行様のようである。まだ雨が降っているので、近くのヒルギ公園の展望台の軒下で休憩することとした。

頭の上の展望台では別の修学旅行のグループが説明に聞き入っている。ついでに私も拝聴した。内容は、「マングローブ、沖縄の山や川、潮の干満について」などであった。ふむふむ。ポンチョを着たままグループとグループの合間を縫って遊歩道を散策する。
出発前に公衆便所で用を足す。トイレには「ご利用ありがとうございます。共同売店もご利用ください」との張り紙が目にとまる。バスの前を通り過ぎると、ご一行様は都内の高校であった。だいぶのんびりしたので出発。

いきなりの急坂である。10分ほど上ると何やらドライブインらしき施設が見えてきた。「沖縄かぐや姫」であった。地図には載っていたが怪しげな名前なのでパスするつもりであったが、寄ってみることとした。園芸・乗馬・おみやげ・食堂などを兼ねる施設であった。ちょうど12:00になったところなので出発したばかりであったが昼食タイム。ソーキそばと、屋我地荘で作ってもらったおにぎりをいただく。
十分休憩して12:30再度出発。あまりのんびりしていると明るいうちに宿に着けないかも。
「かぐや姫」がある小高い丘を越えるとしばらく海岸線に沿っての道路を進んだ。次の町は平良(たいら)。ここは宮里藍の出身地だそうである。こざっぱりとした町を走っていると店の前に高校生とおぼしき2名が立っている。通り過ぎようとすると、大きな声で「こんにちは!」との挨拶を受けた。こちらも「こんにちは!」と返す。こんなやり取りが印象に残った。

その後はしだいに町と町との間隔が長くなり、いよいよ沖縄の果てまで来たなという感じになってきた。山や谷を越え、パイナップル畑を通り過ぎ14:00高江という集落に到着。ドライブイン的な存在の共同売店の前で休憩する。ここで靴下やシャツを着替えていると、「How far ○○○○???」と質問を受けた。「えっ!」心の準備が出来ていない。「あははは・・・」とか適当に対応する。地図を指し示し「今日はここまで行くんだ」的な説明をする。「グッドラック!」「サンキュー!」会話らしくなったのはここだけだと思う。情けない。別な車も休憩のため立ち寄る。連れの犬も用を足している。ここでやっと雨が止んでくれた。
14:30雨具を脱いで出発。ここからいよいよ本格的な上りになってきた。また、この辺からは米軍の演習場に分け入っていくことになる。途中米軍施設のゲートがあり、小銃を持った兵隊が立っていた。15:00坂道もピークとなり東村から国頭村(くにがみそん)へと入った。ここからはしばし豪快なダウンヒルである。が、さっきまで雨が降っていたためブレーキが効かない。ポンチョに受ける風圧も利用して慎重に下る。途中向こうから2名のサイクリストが来た。ロードではなくツーリングである。「物好きな人もいるもんだ」と思いながら(私も同じですが)大きな声で挨拶を交わした。15:20阿波(あは)の町に到着。川の向こうの高台にひなびた民家が点在する集落である。

ここから再度坂道に挑戦となった。町と町の間には深い森のみで何も無い。道路標識も「ヤンバルクイナ注意」とか「カメ注意」とかが多くなってきた。途中野鳥の鳴き声が聞こえしばし聞き入ってしまった。16:10安田(あだ)集落への交差点到着。寄り道してみたい気もあったが、パス。しかし、どうにか明るいうちにゴールできそうだ。
しばらく走ると海岸線となった。しばらくは南国の海の色であったが、次第にブルーへ。強い波風、砕ける波。一瞬「ここはどこ」状態になる。川と川の間の尾根をいくつか越えて最後の小高い山となる。「もうすぐ到着」との気持ちがこみ上げてくる。ピークを越えてゆったりと坂を下ると本日の目的他、奥の集落が見えてきた。奥到着17:20

到着すると「民宿 海山木(みやぎ)」のご主人に部屋や設備の案内を受け、「自転車はここん置きましょーねー」とか、「飲み物は共同売店で買ってねー」とか、先ほどの景色のことはどこえやら、沖縄度100%となった。荷物を置いて共同売店へ急行してみる。店先では近所のおじさんグループが何やら盛り上がっている。店の入り口には犬が気だるそうに寝そべっている。そんな横を通り過ぎ缶ビールと、久米仙ブラウンを購入。なんでもこの共同売店は、数ある沖縄の共同売店の中で最初にできたとのことである。

宿に戻ると入浴。「うちの風呂はまきで沸かしてるからで暖まるよー」とのこと。ほんとうに暖まりました。風呂は岩風呂で手作りの感じです。
続いて囲炉裏を囲んで夕食。すでにご主人と近所のおじさんがなにやら話しに夢中。二人の会話の内容は○×△・・・全然わかりませんでした。奥さんが「うるさくてすみませんねー」なんて言ってくれましたが、BGMでも聞いているようで「全然OKです。」と返答。本日の同宿はレンタカーでの男一人旅が二名。一人は私と同様この宿は初めてでしたが、もう一人はなんと六回目とのこと。そんなところでみなさん車、私は自転車。私が「一番苦労したねー」ということになりました。話の内容は泡盛のせいであまり覚えていませんが、ご主人のだじゃれの連発で大いに盛り上がりました。でも本日の客のレベルに合わせて最高レベル5のところ「今日はレベル1か2で抑えてるよー」とのことでした。
しばらくするともう一組のお客さん到着。アメリカ人のJさんと日本人の奥さん夫婦。沖縄浦添から来たとのこと。これで今日4組み目の客となりました。この宿4室しかないのでこれで満室です。世代も環境もことなる皆さんがたまたま一晩同宿してわいわい語り合う。今回の旅のメインデッシュ的なひと時でした。